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みなさん、こんにちは。
講師の平間です。
今回の授業は、和算探究シリーズ
「江戸の『算遊び』〜老若男女が熱狂した、日本数学の黄金時代〜」の第1回です。
授業テーマの説明
授業の最初に、
「安倍晴明といえば、どんなイメージがある?」と問いかけました。
子どもたちからは、
「スピリチュアルなイメージ」
「陰陽師」といった声がありましたが、
「実は、安倍晴明は今でいう国家公務員で、エリート数学者だったんだよ。」
と説明すると、子どもたちは意外そうな顔。
陰陽師は「理数系」だった
― 算楽塾ラボ所長・島上直人先生の教材『数学者への道』No.2(安倍晴明)より ―
安倍晴明(921〜1005)は、朝廷に仕える国家公務員として、
暦(カレンダー)を作り、天文現象を監視し、時間を測定する仕事を担っていました。
江戸時代の和算家・渋川春海が日本独自の暦を作るより、
600年以上も前にその仕事に取り組んでいたのです。
島上先生の教材には、こう記されています。
「陰陽師は数学が大得意。晴明は天文博士だったが、
引退後は国家財政の収支担当の主計寮の主計権助になっている。
算術を学ぶと人の病気を治したり、人を呪ったりすることができる
──昔は算術(数学)を呪術と考えていた。」
「易は数なり」。陰陽道の教科書には「陰陽の消長変化で万物が生滅する。
これを明らかにするには数学理論でしか解明できない」
占いを「術数(数術)」とも呼び、陰陽師は理数系─そういう存在だったのです。

授業で扱う内容
体験ワーク①:算木で「数を置く」
今日のメイン体験道具は「算木(さんぎ)」。
細い棒を並べて数を表す、日本最古の計算道具です。
算木の最大の特徴は、
「数を記号として書くのではなく、物として置く」ことです。
砂の上に書いた文字のように、簡単に置き直したり取り除いたりできる。
この「数の物理的な扱い」が、後の筆算の基礎になりました。
算木では、
1の位・100の位は「縦置き」で
10の位・1000の位は「横置き」で表します。
これが「位取り」の核心です。

算木の置き方と数の関係を画面に映しながら
「12」「35」「7」などの算木の置き方をノートに書いてもらいました。
徐々に慣れてきたところで、
「じゃあ、105はどうやって表せばいいと思う?」と質問を投げかけてみます。
「0」の置き方は教えていないので、
子どもたちはしばらく考えていましたが、
「何も置かない?」
と一人の生徒が答えてくれました。
発見:「空位(くうい)」──0の原型
答えはその生徒が答えてくれたとおり
「その場所に何も置かず、空っぽにする」です。
これを「空位(くうい)」と呼びます。
よく気づいたなあと感心したところで、
別の質問をしてみました。
「203と2003を算木で表すとき、どうやって区別する?」
「0」が一つか二つか、空間の広さで予想するにしても、
感覚には個人差があって、わかりづらいですよね。
「うーん…?」と子どもたちが困惑したところで、
「0」という記号の大切さを実感してもらえた気がします。
位によって、たて・よこ2種類の置き方があったのは、
このようなときに区別するためだったのでしょう。
体験ワーク②:赤と黒の戦い──正と負の算木
算木には、もう一つの秘密があります。
和算では、
赤い算木を「正(プラス)」
黒い算木を「負(マイナス)」として使いました。
「算術を学ぶと人を呪える」という伝説は、
もしかしたらこの『黒い算木』から来ているかもしれません。
子どもたちに
「赤い棒が3本、黒い棒が5本あります。合わせるとどうなる?」と問いかけます。
すぐに「マイナス2」と答えてくれました。
きっと「マイナス」という考え方を理解しているから
すぐに答えることができたのだと思いますが、
引き算の記号も、マイナスの記号も知らなくても、
「赤3本と黒3本を「ペア」にして取り除き、残るのは黒2本」
といった具合に、感覚的に理解することができます。
数を記号ではなく、物理的な量として扱っていた時代の知恵ですね。

探究:晴明の「魔法の記号」は数学から生まれた
最後に、晴明神社のシンボル
「五芒星(ペンタグラム)」の正体について。
この五芒星の起源は「暦を作るための天文学」にあります。
金星は8年ごとに天球上のほぼ同じ位置に戻ります。
地球が太陽の周りを8回公転する間に、金星はほぼ13回公転する。
(8と13は隣り合うフィボナッチ数!)
この金星の8年間の軌跡を円形ホロスコープに描くと、
宇宙に美しい五芒星が浮かび上がるのです。
晴明が魔除けとして使っていた記号は、
天文学の計算が生み出した数学的な図形でした。
さらに、彼らが算木で使っていた「位取りの原理(十進法)」は、
現代のコンピュータが計算に使う基礎原理と同じです。
「各桁に1つの数字を置き、その桁の重さで全体の値を決める」
1000年前に算木で動かしていた仕組みが、今日のスマートフォンの中に生きています。

算楽塾としての授業のねらい
「数は記号ではなく、物理的な量だった」ということを体験で知る
算楽塾では、知識を先に教えません。
今日の授業も
「0という記号がない時代に人はどうやって数を扱っていたか」という問いを先に投げ、
子どもたちが算木を動かしながら「空位」に自力でたどり着く設計にしました。
「0ってなんで必要なの?」という問いに、
教科書の説明より深く答えられる体験が、エピソード記憶として残ります。
江戸の「算遊び」は、老若男女のものだった
和算を楽しんだのは武士だけではありませんでした。
農民が畦道で考え、商人が帳簿の傍らで解き、女性が神社に算額を奉納した。
身分も職業も関係なく、数学が「遊び」として広まっていた時代が日本にありました。
次回は江戸時代のベストセラー算数書『塵劫記』に登場する
「継子立て(ままこだて)」というゲームをテーマに授業を行いたいと思います。
30人を円に並べ、10番目ごとに除いていく。あなたは最後まで残れるでしょうか?
また次の授業でお会いしましょう😊
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