NEWS 新着情報
こんにちは
講師の平間です。
今回の授業は、算楽塾 和算探究シリーズ
「江戸の『算遊び』──老若男女が熱狂した、日本数学の黄金時代」の第3回です。
授業テーマの説明
授業の最初に、こう問いかけました。
「江戸時代の市場のお話です。とあるお店に、みかんがピラミッド上に積まれていました。
積み上げられたみかんを、みんなだったらどうやって数える?」
と問いかけました。子どもたちは、
「ひとつずつ数える」「むずかしい」といった声が。でも、何か計算方法があるのではないか?
と考えている様子です。
圭垜積(けいだせき)と三角垜積とは
―― 算楽塾ラボ所長・島上直人先生の教材『数学者への道』No.49より ――
今日の主役は「圭垜積(けいだせき)」という数列です。
碁石を三角形に積み上げていくと、
1段:1個、2段:3個、3段:6個、4段:10個……
この「1・3・6・10・15・21……」という数列が圭垜積(けいだせき)です。
島上先生の教材には
「圭垜積はその項までの自然数の和」と定義されています。
自然数:1 2 3 4 5 6 7 8 9
圭垜積:1 3 6 10 15 21 28 36 45
そして
圭垜積をさらに積み上げた数列が三角垜積(さんかくだせき)です。
三角垜積:1 4 10 20 35 56 84
授業で扱う内容
体験ワーク①:碁石を積んで「規則性」を発見する
手元の碁石(または丸シール・コイン)を使って、
三角形のピラミッドを作ります。
1段ずつ積み上げるたびに個数を数えると、
「1・3・6・10」という数が並びます。
「この数字ってどんな規則があると思う?」と質問すると、
「1から順番に数字を足してる」
と気づいてくれました。
次に
「5段まで積むと何個になる?」という重ねて質問します。
「気づいた規則どおりならば「15個」になるはず」という予想を立ててから
実際に積み上げて個数を確かめてもらいます。
こうやって、予想〜検証を行うことを授業では大切にしています。
体験ワーク②:形が変わると何が変わるか
今度は、正方形で積み上げてみます。
1段:1個
2段まで:1+4=5個
3段まで:1+4+9=14個
「さっきと違う数になった。なんで?」
三角形積みは「1+2+3+……」を足していく。
正方形積みは「1²+2²+3²+……」を足していく。
「形が変わると、足す数の種類が変わる」
江戸の和算家たちが競い合っていた「積み上げ問題」の面白さです。
発見:碁石2セットを重ねると「公式」が見えた
次に、
「10段目まで積み上げると何個?」という質問をしました。
ここまでの話によると、
1〜10までの自然数を足していけば求められそうですが、他にも方法があります。
碁石を10段目の三角形に並べた碁石を2セット(色違い)用意し、
一方を逆さにして重ねてみると、二つの三角形が繋がって
碁石が縦:10個・横:11個ならんだ「長方形」になりました。
10段目の圭に必要な碁石は、「10×11÷2」で求めることができます。
これを式にすると、
n段の圭垜積 = n×(n+1)÷2
数えなくても、かけ算と割り算だけで答えが出る。
これが和算家たちが見つけた美しい公式です。
この公式をガウスが10歳で発見した話は、このシリーズの前半でも触れました。
江戸の和算家もガウスも、同じ発見をしていたのですね。
探究:東葛中型の数列問題に挑む
発見した公式を使って、実際の問題に挑戦しました。
1, 3, 6, 10, 15, ……という数列の第10番目の数は何か?
「n×(n+1)÷2」に n=10 を代入すると、10×11÷2=55。
東葛飾中の入試問題は、
このタイプの「規則性を発見して自分の言葉で説明する力」を問います。
公式を暗記するのではなく、碁石2セットを重ねる体験がその説明の根拠になる。
今日の授業は、まさにその体験でした。
算楽塾としての授業のねらい
「数えずに計算する」という発想に、体験から到達する
算楽塾では、公式を先に教えません。
今日も「n×(n+1)÷2」という答えを最初から渡しませんでした。
碁石を積んで規則性を発見し、2セットを重ねることで
公式が「見えてくる」体験を先に設計しました。
体験の後に式が渡されると、それは「覚える知識」ではなく
「発見した知識」として記憶に残ります。
前回・次回との接続:3回の授業がつながる
今回の圭垜積・三角垜積は、
前回(第2回)の継子立てが超難解になった「計子術」の核心にある数列でもあります。
第2回と第3回が今日つながりました。
次回・第4回は「算額(さんがく)」について。
難しい問題を解いたら絵馬に書いて神社に奉納した江戸の文化を探ります。
数学を「祈り」にした日本独自の伝統に触れます。
また次の授業でお会いしましょう😊
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