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塾長・山下洋輔からのごあいさつ
こんにちは。
算楽塾 塾長の山下洋輔です。
先日は、夏休みの特別体験学習
「サイコロを 何千回もふったら、どうなる?」
に参加してくれて、本当にありがとうございました。
教室のあちこちから、「よし、また6が出た!」「あれ、今度は1ばっかりだ」と、
みんなの元気な声が聞こえてきて、私もとても嬉しい時間でした。

このプログラムで、私たちは3つのことを目指しました。
ひとつめは、夏休みの自由研究に役立つこと。
ふたつめは、なにより楽しいこと。
そしてみっつめは、学校の算数にも役立つことです。
サイコロをふるという遊びのような体験が、
そのまま自由研究になり、算数のふしぎにつながっていく
――そんな一日にしたいと考えました。
この記事は、あの日ふったサイコロの記録を、
夏休みの自由研究として仕上げるためのお手伝いです。
しかも今回は、8つの学校・約200人以上という、
ひとりでは絶対に集められない大きなデータが手に入ります。
これを使わない手はありません。
さあ、いっしょに研究を完成させましょう。
この体験学習で、みんながやったこと
まずは、あの日やったことをふり返ってみましょう。
サイコロには、1から6までの目があります。
1回ふっただけでは、どの目が出るかはわかりませんね。
でも今回は、ひとりでは終わらせませんでした。
次の3つのだんかいで、記録をどんどん大きくしていったのです。
① 自分の記録
まず、ひとりでサイコロをふって、出た目を数えました。
数十回ぶんの記録です。
「もっとふりたい!」と、みんな夢中になっていましたね。
いちばんたくさんふった人は、表彰されました。
出た目は、どんなふうにばらついていたでしょうか。
② チームの記録
つぎに、はんのみんなで協力して、ひとりひとりの記録を合わせました。
数百回ぶんです。チームの合計をたたえ合ったのも、楽しかったですね。
ひとりのときとくらべて、6つの目の出かたは変わったでしょうか。
③ 学校ぜんぶの記録
さらに、その学校のぜんいんの記録を合わせました。
数千回ぶんです。ここまで回数がふえると、どうなるでしょう。
そして今回は、この上に
④ 8つの学校ぜんぶを合わせた合計(約200人以上)があります。
これがいちばん大きな、いちばん強いデータです。

今回の大きな問い(テーマ)
「サイコロをふる回数がふえると、6つの目の出かたはどう変わるのだろう?」
この「回数がふえると、どうなる?」という変化を追いかけるのが、
今回の研究のいちばん面白いところです。
自分の学校のデータを手に入れよう
自由研究を仕上げるには、
自分の記録と、学校ぜんぶ・8校ぜんぶの記録の両方が必要です。
自分の記録は、あの日書きこんだ手引きの表を見てくださいね。
そして、学校ごとの結果と8校合計のデータは、
このブログに順番にアップしていきます。
(この記事の下のほうに、少しずつ数字がふえていきます。)
体験会でおわたししたQRコードから、このページにもどってこられます。
自分の学校の名前をさがして、数字を書きうつしましょう。
こまったときは、公式LINEで聞いてね
「数字の読み方がわからない」
「グラフのつくり方で止まっちゃった」そんなときは、
いっしょにおわたしした算楽塾の公式LINEのQRコードから、
気軽に相談してください。(画面右下のポップアップからでもOK)おうちの方といっしょに読んでもらってもだいじょうぶです。
算楽塾の先生が、自由研究を最後まで応援します。
結果(順次アップします)
ここに、各学校の結果と、8校を合わせた合計データをのせていきます。
自分の学校の結果が出たら、データの内容を自由研究に使ってくださいね。
全体の結果 ※ 現在までの全体結果です。(8校中2校の集計結果)
| 出た目 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 合計 |
| 回数 | 1155 | 1280 | 999 | 1204 | 1136 | 1315 | 7089 |
| 割合 | 16.29% | 18.06% | 14.09% | 16.98% | 16.02% | 18.55% |
学校ごとの結果
| 学校 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 合計 |
| 富勢小学校 | 298 | 336 | 257 | 306 | 267 | 295 | 1759 |
| 松葉西小学校 | 389 | 444 | 337 | 416 | 415 | 547 | 2548 |
| 田中北小学校 | 468 | 500 | 405 | 482 | 454 | 473 | 2782 |
| 田中小学校(準備中) | |||||||
| 旭小学校(準備中) | |||||||
| 松葉第一小学校(準備中) | |||||||
| 柏第五小学校(準備中) | |||||||
| 柏第四小学校(準備中) |
自由研究レポートのまとめ方
集めたデータと気づいたことを、下の順番でまとめると、りっぱな自由研究になります。
画用紙やノートに、この順で書いてみましょう。
1. 研究のテーマ
「サイコロをたくさんふると、目の出かたはどう変わる?」
2. 予想
研究する前に、自分がどう思ったかを書く。 例:どの目が出やすいか など。 (当たっても外れてもOK)
3. しらべ方
何回ふったか、どうやって記録したかを書く(個人・チーム・学校・他の学校の結果)。
4. 結果(けっか)
表とぼうグラフをはる。
数字だけでなくグラフにするのがコツ。
わりあいの計算は、こうです。
わりあい(%) = その目が出た数 ÷ 全部の数 × 100 れい:3が10回、ぜんぶで60回なら → 10 ÷ 60 × 100 = 16.7%
グラフには、「16.7%」の線を赤で引いてみましょう。
これは「6つの目が完全に同じなら、それぞれこの割合になるはず」という予想の線です
(1 ÷ 6 = 0.166… だから、やく16.7%)。
自分の記録のグラフと回数の大きいグラフをならべてはると、ちがいが見えてきます。
5. わかったこと
結果は予想どおりだったか、それともちがったか?その理由は?
グラフを見て気づいたことを、自分のことばで書きましょう。
ヒントは、「いちばん多い目」と「いちばん少ない目」の差に注目することです。
6. 本などで調べてみる
わかったことについて、本などで調べてみましょう。
今日のコラム(ベルヌーイ)も、手がかりにしてみてください。
7. かんそう・ぎもん
おどろいたこと、もっと調べたいことを書く。ここは自由です。
レポートがグッとよくなるワンポイント
・グラフに赤い線(16.7%)を書きこむと、変化がひと目でわかります。
・「なぜそうなるんだろう?」と考えたことを書くと、ぐっと深まります。
・次の「ベルヌーイのお話」を読んで、レポートのさいごに一言そえると、とても知的な自由研究になります。
▶ もっと知りたい人へ
研究がひととおり終わったら、こんな問いにも挑戦してみましょう。
- コインを何回も投げたら、表と裏はどんな割合になる?(予想は?)
- サイコロを2つ同時にふって、合計の数を記録したら? 7がいちばん出やすい理由を考えてみよう。
- 「大数の法則」は、天気予報や保険、ゲームのガチャなど、身のまわりのどんな場面で使われている?
コラム:この「きまり」を見つけた人 ── ヤコブ・ベルヌーイ
(このコラムは、自分でグラフを作って「わかったこと」を書いたあとに読むのがおすすめです。
自分の気づきと、くらべてみてくださいね。)
みんなは、サイコロの記録から、どんなことに気づいたでしょうか。
じつは、その気づきと同じことを、いまから約300年前に、数学できちんと証明した人がいます。
スイスの数学者、ヤコブ・ベルヌーイ(1654〜1705)です。

サイコロで島を決めた王さまの話(〜と伝わる)
ずっと昔、1020年ごろのこと。
2つの国の王さまが、ある小さな島をどちらのものにするかを、
なんとサイコロで決めた、という話が伝わっています。
2つのサイコロをふって、出た目の合計が大きいほうが勝ち。
――どちらが勝つかは、その場ではわかりません。
でも、「たくさんふったら、どんな目がどれくらい出るのか」を
数学で考えたのが、ベルヌーイたちでした。
サイコロやくじは、大むかしから人びとのそばにあったのですね。
ビーズのつぼの実験
ベルヌーイは、こんな実験を考えました。
赤いビーズと白いビーズを同じ数だけ入れたつぼから、
よくかきまぜて1個ずつ取り出し、色を調べて、またもどす。
これをくり返して、「赤だった割合」がどうなるかを調べたのです。
結果は――取り出す回数がふえるほど、赤の割合は「半分(0.5)」に近づいていきました。

これは、みんながサイコロでたしかめたことと、まったく同じしくみです。
目のかわりに色、6分の1のかわりに2分の1になっただけ。
ベルヌーイは、この「回数をふやすほど本当の割合に近づく」というきまりに、
はじめて数学の証明をあたえました。
そしてこのきまりを、亡くなったあとに出版された
『予測術(よそくじゅつ)』という本の中で発表しました。
だからベルヌーイは、あてずっぽうだった
「確率(かくりつ)」を、きちんとした数学に変えた人
――「確率論の育ての親」
とも呼ばれています。
このきまりには、
いまでは「大数(たいすう)の法則」という名前がついています。
ここがすごい:一部を調べれば、全体がわかる
ベルヌーイのきまりのおかげで、
いまの私たちはこんなことができます。
- 全国民に聞かなくても、何千人かにアンケートをすれば、だいたいの人気がわかる
- 全部の製品を調べなくても、一部を調べれば品質がわかる
「たくさん集めれば、本当のすがたが見えてくる」
――みんなが8校ぶんのデータでやったことと、同じ考え方が、
じつは社会のあちこちで役に立っているのです。
みんなの自由研究は、300年前の大数学者と、同じ道を歩いているのですよ。
ちなみにベルヌーイ家は、数学者や科学者を何人も生んだ
「数学一族」として知られています。
「ベルヌーイ」の名がつく法則やことばが、
数学や物理のあちこちに残っているほどです。
このお話は、算楽塾の読み物『数学者への道』第50号でくわしく読めます。
この体験学習にこめた、算楽塾のねらい
最後に、この体験学習に私たちがこめた思いを、
少しだけお話しさせてください。
今回いちばん大切にしたのは、「わからない」を出発点にすることです。
1回ふっただけでは、何が出るかわからない。予想が外れることもある。
でも、みんなで手を動かし、記録を積み重ねていくと、
かくれていた「本当のきまり」がすがたをあらわす。
その瞬間の「あっ、そういうことか!」という驚きこそ、
算楽塾がいちばん大事にしている学びです。
そのために、今回のプログラムにはいくつかの仕掛けをこめました。
まず、とにかくたくさんサイコロをふること。
いちばん多くふった人を表彰するようにして、ゲームのように夢中になれるようにしました。
楽しく手を動かしているうちに、自然と「大きなデータ」が生まれていきます。
夢中になることが、実は学びのいちばんの近道です。
つぎに、チームで協力して集計すること。
ひとりひとりが記録した結果を持ち寄り、足し合わせていく。
この作業の中に、じつはたくさんの協働が生まれていました。
「次は何をすればいい?」と全体を見わたして声をかけるリーダー役の子、
計算が得意で数をどんどんまとめていく子
――それぞれが自分の得意を活かして、チームを動かしていく姿があちこちで見られました。
ひとりの記録は小さくても、みんなで持ち寄れば大きな力になります。
「仲間と協力して、ひとりではできないことをやりとげる」よろこびこそ、
これからの時代にますます大切になる、協働的な学びの第一歩です。
そして、個人 → チーム → 学校 → 他の学校と、
データをどんどん大きく広げながら見くらべること。
数がふえるほど結果がどう変わっていくかを、自分の目で追いかけます。
バラバラだったものが、だんだんそろっていく
――その変化に気づく力は、データがあふれる時代を生きるうえで、とても大きな武器になります。
最後に大切にしたのが、実証的な姿勢です。
「たぶんこうだろう」で終わらせず、予想を立て、実際に確かめ、データで語る。
これは、科学者や研究者が世界中でやっていることと、まったく同じ方法です。
みんなは今回、その本物のやり方を体験したのです。
自分の力で「わかった!」と感じた瞬間、その喜びは記憶にしっかり残ります。
答えを先に教わるより、ずっと深く、ずっと長く。今回のサイコロの体験が、
みんなの心のどこかに「数って、面白いな」という小さな種をまいてくれたなら、
これほど嬉しいことはありません。
じつは私自身、数学が専門だったわけではありません。
ある年齢になってから数学の本を読みはじめて、
「数学って、こんなに面白かったのか」と何度も驚かされました。
学ぶのに、遅すぎるということはありません。
そして、その「おもしろい!」の入口は、今回みんながやったような、
手を動かして自分の目でたしかめることの中にあります。
算楽塾のキャッチコピーは、こうです。
わからなくていい。それが、考える力の始まりだ。
この夏、みんなが自分の手で作りあげる自由研究が、
一生モノの「考える力」の、小さな第一歩になりますように。
困ったときは、いつでも公式LINEで声をかけてくださいね。
最後まで、いっしょに走ります。
充実した夏休みになりますように。心より応援しています。
算楽塾 塾長 山下洋輔

おうちの方へ
この手引きは、サイコロを繰り返し振るという体験を出発点に、
「大数の法則」を実際のデータで確かめる自由研究のガイドです。
算楽塾では、答えを先に教えるのではなく、まず手を動かして体験し、
「あれっ、どうして?」という驚きから考え始めることを大切にしています。
今回のテーマは、確率・統計という
中学・高校・大学へとつながる大きな数学の入口です。
ご家庭では、正解かどうかよりも
「予想して、たしかめて、自分のことばで説明できたか」を見てあげてください。
グラフが少しくらいずれていても問題ありません。
「回数がふえると予想に近づいた」と本人が気づけたら、この研究は大成功です。

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